外国人も日本で年金を払う必要がある?

年金に入らないと、どんなリスクがあるのか?

「自分は外国人だから関係ない」「数年で帰国する予定だから払う必要はない」と思っていませんか?
実は、日本での年金未加入や未納は、将来の在留資格の更新や永住申請に重大な影響を与える可能性があります。

入管では、在留資格の審査の際に、税金・健康保険・年金などの「社会的義務」を果たしているかどうかを重視しています。
特に永住申請では、最近の年金や健康保険の納付状況が厳しくチェックされます。未納や未加入の期間があると、「社会的義務を果たしていない」と判断され、永住が認められないこともあります。
審査では原則として直近の納付状況が重視されますが、長期にわたり未納が続いていた場合などは、過去の記録も含めて全体の状況が判断されることがあります。

また、年金は老後のためだけではなく、病気やけがで障害が残った場合の「障害年金」、亡くなったときに家族に支払われる「遺族年金」など、万が一のときに家族の生活を守る仕組みでもあります。加入していなければ、こうした保障を一切受けられないのです。

外国人も年金に加入する義務がある

日本に住民登録があり、3か月を超える在留資格を持つ外国人は、20歳以上60歳未満であれば、国民年金などの公的年金制度への加入が義務付けられています。

会社で働いている人は、雇用主を通じて「厚生年金」に加入します。これは保険料の半分を会社が負担してくれる仕組みです。
一方、学生や自営業、アルバイトのみの人などは、自分で「国民年金」に加入し、全額を自己負担することになります。

実際、技能実習生や特定技能で働く人も厚生年金の加入対象です。ところが、雇用主が手続きを怠ったり、本人が制度を知らずに働いていることもあり、「加入していなかった」と後で気づくこともあります。会社側にも加入させる義務があることを、しっかり理解しておく必要があります。

保険料が払えないとき、どうすればいい?

「生活が苦しくて払えない」「学生で収入がない」――そんなときは、免除や猶予制度を使うことができます。
たとえば収入が低い人や無職の人は、「保険料免除申請」を出すことで、状況に応じて保険料の負担を軽くしてもらえることがあります。

学生の場合は、特に収入がなくても「学生納付特例制度」を使えば、支払いを将来に先送りすることが可能です。
ただし、これらの制度は自動では適用されません。必ず申請が必要です。
「払えないからそのまま」にしておくと「未納」扱いとなり、後々のビザ審査に影響します。

「どうせ帰国するからムダ?」――脱退一時金の仕組み

日本に数年間滞在してから帰国する外国人の中には、「年金なんてムダでは?」と感じる方もいます。
でも実は、帰国後に“脱退一時金”という形で、納付した保険料の一部を現金で受け取る制度があります。

ただし、以下の条件があります:

  • 日本を出国してから2年以内に申請すること
  • 原則、6か月以上年金に加入していたこと
  • すでに年金受給資格(原則10年)を得ている場合は対象外

また、一度脱退一時金を受け取ってしまうと、その分の加入期間は将来の年金受給資格にカウントされなくなります。
つまり、「今の現金をとるか」「将来の年金受給権を残すか」の選択になります。これは慎重に判断しましょう。

海外に転出したあとも加入を続けられる?

日本を離れて母国に戻ったあとでも、「任意加入」という形で国民年金の支払いを続けることが可能です。
これは、将来もう一度日本に住みたい人や、日本の年金受給資格(10年)を満たしたい人にとって有効な制度です。

任意加入できるのは、20歳以上65歳未満で、過去に日本の年金制度に加入していた日本国籍の人が原則です。
ただし、外国人であっても加入実績がある場合、個別に認められることがあります。
手続きは、日本国内の市区町村役場、または在外公館(大使館・領事館)で行う必要があります。

日本と自国の年金を合算できる場合も

日本と母国が「社会保障協定」を結んでいる場合、両国の年金加入期間を合算(通算)して、日本の年金受給資格(10年以上)を満たすことが可能です。

たとえば、フィリピン・ブラジル・ドイツ・アメリカ・韓国などとは協定があり、それぞれの国の年金加入期間を相互に通算できます。
この制度を利用すれば、「日本での加入期間が短いために年金が受け取れない」といった事態を避けることができます。
ただし、受け取れる年金額は、日本で実際に保険料を納めた期間に基づいて計算されます。

短期滞在者・不法滞在者は対象外

観光ビザなど短期滞在(90日以内)で日本にいる場合は、住民票を持たないため、年金に加入することはできません。
また、不法滞在状態では、日本の社会保障制度には加入できず、保険料を支払っても将来受給する権利はありません。
在留資格のない状態では、どんな制度も使えないという現実があることにも注意が必要です。

最後に:制度を正しく知り、将来を守る一歩を

年金は、単に「老後のためのもの」ではありません。
いま日本で生活している外国人が、突然のけがや病気に見舞われたとき、自分や家族の暮らしを守ってくれる制度でもあります。
そして、きちんと加入して納付していることが、日本での在留継続や永住のための大切な信頼にもつながります。

制度が難しくてわからない、不安がある――そんなときは、一人で悩まず、まずは役所や専門家に相談してみてください。
「知らなかった」で損をするのではなく、「知って備える」ことで、自分自身の未来を守っていきましょう。

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