経営・管理ビザで商売をお考えの方へ

外国人が日本で会社を設立し、事業を経営または管理するためには、「経営・管理」ビザの取得が不可欠です。この在留資格は単なる滞在許可ではなく、日本での事業活動を合法的かつ安定的に行うための土台となる極めて重要なビザです。たとえ情熱やアイデアがあっても、法的な在留資格が整っていなければ、実際にビジネスを始めることはできません。つまり、経営・管理ビザは、外国人にとって“日本でのビジネスをスタートさせるための第一関門”とも言える存在です。

このビザを取得するには、単に会社を作るだけでなく、具体的かつ実現可能な事業計画の提出、資本金や事務所の確保、そして経営者としての適格性など、いくつもの要件を満たす必要があります。中でも、資金の出所やオフィスの実態など、見えにくい部分への審査も厳しく、形式的な書類だけで通過するのは困難です。また、審査官はその会社が本当に継続的に経営される見込みがあるかを慎重に見極めており、計画の一貫性や実現性が問われます。
この記事では、「経営・管理」ビザとは何か、どのような条件を満たせば申請できるのか、そしてその制度がどんな目的で運用されているのかを丁寧に解説していきます。また、実際にこのビザを取得しようとする方にとって、事前に知っておくべき注意点や、申請時にやってしまいがちなミス、成功率を高めるための具体的な準備など、実務的な観点からのアドバイスも盛り込んでいます。
出資金500万円:金額よりも「どう集めたか」と「どう使うか」が審査対象

法律上は、資本金500万円以上を用意すれば経営・管理ビザの出資要件を満たします。しかし、実務では金額よりも「その資金の出所が正当か」「名義貸しではないか」「本当に事業に使われるのか」という点が細かくチェックされます。
例えば、「日本の知人が貸してくれた」といった説明では不十分です。その場合、借用書・送金記録・返済計画書などの詳細資料が求められます。送金ルートが不明瞭だったり、第三者名義の口座から資金が入っている場合、「資金洗浄の疑い」や「経営に実態がない」と見なされる可能性もあります。
また、実際には500万円をかき集めて一時的に口座に入れた後、すぐに引き出してしまうようなケースもありますが、これは非常に危険です。審査官は、出資金の使い道についても注目しており、「開業準備費」「設備投資」「人件費」などへの使用が見込まれる具体的な予算書・支出計画を求められることがあります。
つまり、単に「500万円あります」ではなく、「この資金でこういう事業を立ち上げ、こう使っていく」というストーリーが納得できる形で提示できるかどうかが、審査の分かれ目です。

事務所:見せかけの「存在」ではなく、審査官が“リアルに想像できるか”が重要

「賃貸契約を結んで法人登記も済ませたので、事務所はクリア」と考えるのは危険です。入管審査では、契約書だけでなく、その場所が本当に事業用として使われているかどうか、使用実態があるかどうかが厳しく見られます。
実務では、事務所の内外観の写真に加え、デスク・パソコン・電話・プリンター・書類棚などの備品が揃っていることが求められます。さらに、電気・インターネット・水道の契約書や使用履歴があると、「事業が始まっている」ことの裏付けとして高く評価されます。
最近では、審査官がGoogleストリートビューやマップを使って事務所の外観や建物の用途を確認しているケースも増えており、雑居ビルの一室やワンルームマンションの場合、「ここ本当にオフィス?」と疑われるリスクが高まります。
また、「自宅兼オフィス」のような形態も実務上は非常に不利です。生活空間と仕事空間が混在していると、経営拠点としての信頼性に欠けると判断されることがあるからです。つまり、書面上の存在だけではなく、審査官が“その場所で人が実際に働いている様子”を思い描けるかどうかが鍵なのです。

事業計画:机上の空論ではなく、“すでに動いていること”を示せるかがカギ

事業計画書は、申請書類の中でも最も重要な資料のひとつです。しかし、内容が抽象的すぎたり、収支計画が現実味を欠いていたりすると、審査官に「この人は本気でビジネスをする気があるのか?」と疑念を抱かれてしまいます。
たとえば、「月に300万円の売上を見込んでいます」と記載しても、実際には販路が曖昧で、営業先のリストもなければ、単なる希望的観測としか受け取られません。審査官が最も信頼を置くのは、“事業がすでに始まりつつある証拠”です。
そのためには、以下のような証拠が極めて有効です:
・見積書や発注書(取引予定先とのやりとり)
・メールやLINEの商談記録
・業務委託契約書
・サービスサイトやチラシ(集客の実績)
さらに、収支計画についても、単年度だけでなく3年分程度の売上推移、販管費、人件費、利益率の見通しまで含めると「継続性」の評価が上がります。

経営者としての適格性:「この人に会社を任せて大丈夫か」と問われている

経営・管理ビザの審査では、申請者本人が本当に経営・管理にふさわしい人物かどうかが見られます。特に、日本での職歴がない、ビジネス経験も浅いという場合は注意が必要です。
たとえば、申請者が20代で社会人経験もなく、会計・法律・労務などの知識が乏しい場合、審査官は「この人がひとりで事業をまわせるのか?」と疑念を抱きます。こうしたケースでは、共同経営者の存在や、顧問税理士・行政書士との連携体制を明確に示すことで補強できます。
また、「母国で小さな事業をやっていた」「知人の会社で経理を担当していた」など、細かい経歴も丁寧に書くことで、申請者の信頼性が増します。場合によっては、元勤務先からの推薦状や、ビジネススキル証明書なども有効です。
入管が求めているのは、形式的な資格ではなく、「この人なら、日本で事業をきちんと回していける」という安心材料です。その裏付けとなる材料を“自分で考えて揃えられるか”が、審査突破の鍵になります。

経営・管理ビザの取得には、綿密な準備と厳格な審査をクリアすることが求められます。
しかし、本当に重要なのはその後です。許可が下りた瞬間がゴールではなく、むしろ“経営の実態”が継続的に問われる、本当の審査の始まりだと言っても過言ではありません。形式的な会社や事業活動のない状態では、更新時に不許可となるリスクも十分にあります。長く日本で経営を続けるためには、日々の事業運営の中で信頼性を積み重ねていく必要があるのです。

経営・管理ビザを更新する際に見られる3つの重要ポイント

経営・管理ビザを更新する際、入管は「これまでの1〜3年でどれだけ実質的に事業を行ってきたか」を非常に細かく確認します。取得時の書類がどれだけ完璧でも、更新時に“中身がない”と判断されれば不許可になる可能性も。以下は、実際の審査で重視される代表的な3項目です。

経営・管理ビザは、単に書類を揃えるだけでは通過できない在留資格のひとつです。
新規申請では将来性、更新では実績と信頼性が問われ、いずれも高度な法的理解と事業感覚が求められます。適切な審査対応を行うためには、制度に精通した行政書士などの専門家に相談し、状況に応じたアドバイスを受けることが効果的です。
フジ行政書士事務所でも、経営・管理ビザに関する各種手続きをサポートしております。ご相談をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

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