国際結婚に必要な書類とその準備
外国人と日本人が日本で結婚する場合、日本人同士の結婚とは異なり、さまざまな書類と手続きが必要になります。国や滞在状況によって書類の内容が変わるため、早めの準備と情報確認が求められます。
代表的な必要書類は以下の通りです。
- 婚姻届
全国の市区町村役所で配布されており、日本人同士と同じ形式を使用します。自治体によってはWebからダウンロード可能なほか、デザイン付きの婚姻届をコンビニで印刷することもできます。 - 戸籍謄本(日本人側)
本籍地が婚姻届提出先の役所と異なる場合に必要です。遠方に本籍がある場合は郵送での取得も可能です。本籍地で提出する場合には不要となります。 - パスポート(外国人側)
本人確認書類として提出します。顔写真ページのコピーと、そのページの日本語訳を添付します。翻訳は本人が行っても問題ありませんが、翻訳者の住所や氏名を記載する必要があります。 - 婚姻要件具備証明書(独身証明書)または代替となる宣誓書など
外国人が自国の法律において結婚に問題がないことを証明するための書類で、通常は在日大使館または領事館で発行されます。ただし、国によっては制度がなく、代わりに宣誓書を提出する必要があるケースもあります。宣誓書は、本人が大使館で独身であることなどを口頭で宣言したうえで作成されます。
これらの書類には日本語訳の添付が求められる場合が多く、翻訳者の情報(氏名と住所)を記載する必要があります。翻訳そのものは本人が行っても差し支えありません。なお、日本で発行された書類の多くは「発行から3か月以内」、外国で発行された書類は「6か月以内」が有効期間とされており、取得と提出のタイミングには注意が必要です。余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
結婚手続きの進め方と注意点
国際結婚を日本で成立させるには、複数の手続きを順に踏んでいく必要があります。主な流れとしては、必要書類の取得、役所への婚姻届提出、日本での婚姻成立、大使館・領事館への届出、そしてビザの取得という順になります。
まず必要書類を揃えたうえで、最寄りの役所に婚姻届を提出します。書類に不備がなく、法的な要件をすべて満たしていれば、婚姻はその場で受理され、日本で正式に結婚が成立します。ただし、疑義がある場合は「受理照会」という扱いになり、いったん書類が預かられ、法務省の判断を待つことになります。
婚姻届が受理された後は、同じ窓口で「婚姻届受理証明書」を受け取ることができます。これは、日本の役所で結婚手続きが受理されたことを証明する重要な書類であり、後述するビザ申請や外国人の母国への届出でも使用されます。
次に、婚姻届受理証明書を外国人配偶者の母国の在日大使館または領事館に提出します。この段階で、母国側でも正式に国際結婚が成立し、現地で必要な登録や届出が行われる流れとなります。なお、提出先の国によっては婚姻届受理証明書以外の追加書類を求められる場合があるため、事前に連絡・確認しておくと安心です。
また、婚姻要件具備証明書や宣誓書を取得する際に、面接や審査が必要となる国も存在します。特に、外国人パートナーが短期滞在ビザで日本にいる場合、書類取得までに滞在期間が足りなくなる可能性もあります。発行までにどのくらいの期間が必要かを調べ、無理のない日程を立てておくことが大切です。
結婚後に必要な配偶者ビザの取得と実務
国際結婚が成立しても、それだけで外国人配偶者が日本で暮らし続けられるわけではありません。継続的に日本に滞在するためには、「日本人の配偶者等」という在留資格、いわゆる配偶者ビザの取得が必要になります。
外国人配偶者がすでに日本に在留している場合は、現在の在留資格から配偶者ビザへの「在留資格変更許可申請」を行います。たとえば、留学や技術・人文知識・国際業務などの資格から変更するケースです。審査期間は数週間から1か月程度ですが、書類の不備や審査の混雑状況によっては長引くこともあります。
一方、外国に住んでいるパートナーを日本へ呼び寄せる場合は、「在留資格認定証明書交付申請」を日本側で行います。これにより認定証明書が発行され、それを外国人が持って日本大使館または領事館でビザ申請を行う流れになります。この場合、来日までに少なくとも2~3か月以上の期間を見込んでおく必要があります。
配偶者ビザの申請においては、2人の関係が真実であることを証明する資料の提出が求められます。たとえば、以下のような資料が有効です。
- 出会いから結婚に至るまでの経緯をまとめた書面
- 旅行中の写真や、交際を証明するLINE・SNSの記録
- 結婚式や披露宴の実施報告や写真
- 両親や友人との交流がわかる集合写真など
これらは、実際の交際があり、信頼関係に基づいた婚姻であることを証明する材料となります。審査は年々厳格化しており、不自然な申請や記述の矛盾があると、偽装結婚の疑いで許可が下りないこともあります。慎重に、誠実に準備を行うことが求められます。
費用・期間・心構え――現実的な対応と専門家の活用
国際結婚の手続きには、時間と労力、そして費用もかかります。婚姻届の提出自体には特別な費用は発生しませんが、書類取得や翻訳、郵送、大使館での発行手数料、交通費などは自己負担となります。また、配偶者ビザの変更申請時には収入印紙代として4,000円が必要です。
配偶者ビザの申請は書類が多く複雑で、慣れていないと時間がかかることがあります。そのため、行政書士に依頼する人も多く、費用の相場は10万円前後が一般的です。
手続きにかかる期間としては、婚姻届提出から配偶者ビザの取得まで、少なくとも2〜4か月程度を見込んでおくと安心です。申請から許可が下りるまでの期間に加えて、必要書類の収集や翻訳にも時間がかかります。提出した書類の情報が不十分と判断されれば、追加資料を求められ、審査が長引くこともあるため注意が必要です。
さらに、結婚によって日本国籍が自動的に取得できるわけではありません。国籍を変更するには、別途「帰化申請」という手続きを行う必要があります。帰化には厳格な条件と多くの書類準備が必要で、通常は行政書士など専門家の支援を受けながら進めていきます。
日本と外国の制度の違い、文化の違い、言語の壁など、国際結婚には特有のハードルがありますが、必要な手順を丁寧に踏んでいけば、確実に前に進めるものです。早めの準備と、行政・大使館・専門家との連携を意識することで、複雑な手続きも着実にこなしていくことができるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
「こんなことで相談していいの?」
—— 大丈夫です! あなたの不安に丁寧に向き合います
フジ行政書士事務所では、日本で暮らす外国人の方が安心して生活できるよう、ビザのことはもちろん、手続き・仕事・暮らしの中で感じる不安や悩みにも寄り添っています。
「誰に相談したらいいかわからない」そんなときこそ、フジ行政書士事務所にご相談ください。
あなたにとっていちばん良い形を、一緒に考えていきます。
※LINEをご利用でない方は、▶ お問い合わせフォームはこちら からもご相談いただけます。
コメント