「自国を最優先にする」は世界の流れか

世界は「自国の利益を最優先にする時代」へ入り、日本もその流れに向かっている

いま世界は、かつてないほど「自国の利益を最優先に考える時代」に入っています。安全保障、経済、食料、水資源、人口動態、住宅価格――どれを見ても、各国が国内を守ることを最優先に政策を組み立てています。その流れの中で、不動産分野と並んで、ビザ・在留制度の厳格化が国際的な潮流となっています。これらは本来別分野に見えますが、実際には「国家として守るべき領域をどう管理するか」という共通のテーマでつながっているのです。

日本でも、外国人による不動産所有の透明化へ向けて大きく舵を切り始めています。不動産ベース・レジストリを活用し、国籍情報と所有状況を紐づけることで、土地を誰が所有し、どう活用しているかを正確に把握しようとする取り組みが加速しています。こうした動きは世界では決して珍しくなく、むしろ日本がようやく国際基準に近づきつつあると言えるものです。

この「自国優先の流れ」は、不動産だけでなく、ビザや在留資格の分野にも広がっています。先進国を中心に、外国人の受け入れは、単純労働から高度人材へ重点を移し、法令遵守を徹底させる方向へとシフトしています。かつてのように「労働力不足だから誰でもいい」という発想は消えつつあり、国家の発展に寄与する人材を厳選することが当然視されるようになりました。

つまり、世界の国々は自国を守り、自国の利益にとって必要な人材や資本を選び取るという姿勢を明確にしており、日本もこの流れを避けて通れません。不動産の透明化とビザ厳格化は、その象徴的な動きだと言えるのです。

不動産透明化は世界標準。ビザ制度も各国で厳格化が進む

欧米ではすでに、自国の土地や不動産を守るための制度強化が当たり前になっています。英国では、海外法人が不動産を取得する際に、実質所有者の開示を義務付ける法律が整備され、匿名所有はほぼ不可能になりました。EUでも加盟国間で不動産の透明性を統合する取り組みが進み、所有者情報と実質所有者情報を共有する体制を構築しつつあります。

米国ではさらに強い動きが見られます。外国資本による農地取得や住宅市場への影響が問題視され、一部の州では外国人による土地購入を制限する法律が制定されました。軍事施設周辺の土地取得には厳しい審査が導入され、安全保障と経済を守るための仕組みが次々と整えられています。

そして同じように、ビザ制度においても世界的に厳格化の方向へ進んでいます。カナダやオーストラリアでは、留学生ビザや労働ビザの審査基準が相次いで強化され、「学ぶ意思がない」「労働目的が強い」という形跡がある申請は容赦なく拒否されるようになっています。アメリカでも、就労ビザ取得のハードルは年々上昇し、在留資格延長の審査もより細かくチェックされるようになりました。

この国際潮流は、単に労働者数をコントロールするというだけではありません。国家が自らの社会秩序、税制度、安全保障、経済構造を守るための当然の対応として行われています。「誰でも受け入れる時代」から、「受け入れる外国人を選ぶ時代」へ。これはいま世界が共有している価値観と言えます。

不動産の透明化とビザの厳格化は、同じ“国家戦略”の中に存在するものであり、国際社会ではその両方が「自国を守るための必要な改革」として扱われています。

国際機関も「自国の利益を優先する姿勢」を後押ししている

OECD、FATF(金融活動作業部会)、透明性国際といった国際機関は、不動産分野に限らず、各国が自国の安全と利益を守るための制度強化を進めるべきだと明言しています。これは、決して閉鎖的な政策を勧めているのではなく、透明性の欠如が国際犯罪、脱税、人身取引、マネーロンダリングの温床になることを防ぐためです。

OECDは不動産の匿名所有を重大なリスクと位置づけ、「最終的な所有者」を把握することが必要不可欠だとしています。一方、ビザや在留制度についても、各国が「法令遵守」「自立性」「社会への適合度」を重視して選別を進めるよう求めています。特に留学生制度については、世界的に“労働目的の留学”が問題化していることから、審査強化が国際的な共通課題になりました。

透明性国際が発表した報告では、不動産もビザも「国家が最もコントロールすべき領域」として扱われています。不透明な不動産所有や曖昧な在留資格が存在すると、国家の安全と経済に深刻な影響を与える可能性があるため、世界の国々は制度の現代化と厳格化を同時に進めています。

日本も例外ではなく、今後は不動産透明化と並行して、在留管理の厳格化が進むことは確実です。制度の透明性を高めることで、社会全体の秩序を守りつつ、健全な外国人が安心して活躍できる環境が整っていきます。

日本も「自国最優先の国際潮流」に合わせて改革を進める段階に入った

日本にとって、外国人の受け入れと自国の保護は両立しなければなりません。外国人による不動産所有の透明化はその第一歩であり、「誰が土地を所有しているのか」「資金の出所はどこか」を把握できるようにすることは、国として極めて重要です。そしてもうひとつの軸が、ビザ・在留制度の厳格化です。

すでに日本では、ビザ審査の実務レベルで厳格化が始まっています。技人国の審査では「実務内容が専門性に合致しているか」がより細かくチェックされ、留学生には「学習実態」と「生活の安定性」が厳しく求められるようになりました。経営管理ビザでは、事業の実態、資金の出所、常勤職員の雇用状況などが細かく審査され、形式的な会社設立では許可が出にくくなっています。

さらに今後は、外国人雇用の監視、旅券の適正管理、入管への届出義務の徹底などがより強化されることが予測されます。これは決して外国人を排除するという意味ではなく、健全な受け入れと社会の安定を両立させるための当然の方向性と言えます。

世界はすでに「自国の利益を守ることは当然」という価値観で動いており、日本もそのステージに立ったにすぎません。透明な制度と厳格な審査が整うことで、本当に日本で生活したい外国人にとって、より公正で安心できる社会が形成されていくはずです。

今後も、日本は国際基準に合わせながら、不動産・在留制度の両面で透明化と厳格化を進めていくでしょう。そしてそれは、外国人にとっても日本人にとっても、長期的には「信頼できる社会」をつくるための重要な基盤となります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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