入管への届出義務と14日ルール|届出を忘れたとき何が起きるのか

在留資格の維持には「14日以内の届出」が最も基本的なルール

日本で生活し働く外国人にとって、在留資格は住まい・仕事・生活そのものを支える最も重要な基盤です。この基盤は、本人が日常的に意識するものではないかもしれませんが、一度揺らぎが生じると生活に直結する重大な問題となります。退職・転職、学校や実習先の変更、または配偶者との離婚など、生活の前提が変わる出来事が起きたときには、必ず入管へ状況を届け出ることが求められています。これは「可能であれば行う手続き」ではなく、法律上の義務であり、明確に期限も定められています。

状況の変化があったときに届け出が必要となる主な場面としては、次のようなものがあります。

  • 勤務先の退職・転職・倒産・合併
  • 特定技能で受入機関が変更になった場合
  • 日本人・永住者の配偶者との離婚や死別

これらの事由が発生した場合、入管法は「発生した日から14日以内に届出を行うこと」と定めています。しかし実務では、この義務を知らないまま生活している外国人が非常に多く、本人が悪意なく届出を失念しているケースが目立ちます。そして更新のタイミングで初めて、「活動に空白期間がある」「所属機関の変更が報告されていない」と指摘され、更新が難しくなる事例が後を絶ちません。

届出義務を知らなかったという理由で免除されることはありません。入管は提出された資料と事実関係をもとに厳格に判断しますので、「うっかり忘れていた」だけでも、結果として在留資格を失う可能性さえあります。本来であれば避けられたはずの不許可が、ただの失念によって起きているという現実を強調しておかなければなりません。

他の人が許可されても、自分が不許可になる理由は「入管の判断基準が揺らがない」から

在留資格の更新で不許可になった方からよく聞くのが、次のような言葉です。

  • 「同じ会社で働いている同僚は更新できたのに、なぜ自分だけダメなのか」
  • 「友人は転職していても問題なかったと聞いたのに、どうして私だけ不許可になるのか」
  • 「同じ業務内容なのに、他の人は許可されている」

しかし、入管の審査は「他の外国人がどうだったか」では動きません。入管は個々の外国人について、個別の事情・提出資料・活動履歴などの客観的な事実を基準に判断しています。つまり、同じ会社で働き同じ職種であっても、次のような点が少し違うだけで結果が異なることは十分にあり得ます。

  • 届出が期限内に行われているかどうか
  • 活動の空白期間がないかどうか
  • 退職日や転職日の記録が明確か
  • 賃金・勤務時間などの条件が在留資格に適合しているか
  • 提出資料に矛盾がないか
  • 新しい活動内容が資格範囲に合っているか

入管が重視するのは、「その人自身の在留経過に一貫性があるか」「資格に適した活動が継続されているか」という点であり、他者との比較ではありません。特に退職や転職の場面では、届出を行わなかった期間があると、たとえ悪意がなくても「活動実態が確認できない」と判断され、不許可になるリスクが大幅に上がります。

実務では、この届出忘れが更新不許可の主要な原因の一つとなっています。つまり、他の外国人が許可されたからといって、自分も必ず許可されるとは限らないのです。入管の判断基準がブレない以上、「届出を怠らない」という基本だけで結果は大きく変わります。

届出さえ忘れなければ、多くのトラブルは未然に防げる

退職や転職は突然訪れることも多く、本人が新しい生活の準備に追われている間に届出を忘れてしまうことがあります。また、企業側も外国人雇用に慣れていない場合、「会社が手続きをするから大丈夫」と誤って説明してしまう例が見られ、結果的に本人の届出が漏れてしまうケースも散見されます。

しかし、入管は法律に基づいて運用されているため、たとえ本人が「誰からも教えてもらっていなかった」と感じていても、判断が変わることはありません。むしろ、届出が行われていなかった事実だけをもって、「活動実態の確認が取れない」とされることがあります。

逆に言えば、次の点さえ守っておけば、多くのトラブルは未然に防げます。

  • 退職・転職などの変化があったら、必ず14日以内に届出する
  • 届出内容は本人でも企業側でも確認し合う
  • 企業が外国人支援に不慣れなら、専門家に相談する
  • 業務内容が在留資格に合うか不安なら、早めに相談する

とはいえ、制度は複雑で、活動内容の判断や届出の可否を現場だけで判断するのは容易ではありません。実際、企業の担当者が制度を誤解したまま運用し、その結果として外国人本人が審査で不利益を受けることもあります。このようなトラブルを防ぐために、行政書士に在留資格管理を依頼する企業が増えています。

行政書士は日常的に入管手続きを扱っているため、退職の瞬間、転職の瞬間など「いつ届け出が必要か」を正確に把握しており、外国人本人と企業の双方にとって大きな安心につながります。特に、複数の外国人を雇用している企業や、外国人雇用の経験が浅い企業では、専門家のサポートが大きな効果を発揮します。

最終的に重要なのは、普段から「状況の変化に気づいたら必ず14日以内に届け出る」という体制を整えておくことです。この基本を守るだけで、多くの不許可リスクは確実に減らせます。入管の判断は揺らぎません。だからこそ、その確固たる運用に合わせて、ミスなく届け出を行うことが、外国人の在留資格を守る最も確実な方法になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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