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「経営・管理」ビザの
全てを知ろう
入管審査基準に基づく、申請要件・審査ポイント・よくある落とし穴を徹底解説。外国人が日本でビジネスを行うために必要な在留資格の詳細ガイドです。
出典:出入国在留管理庁 第12編 在留資格(審査基準)|2026年5月更新
目 次
「経営・管理」ビザとは何か
「経営・管理」の在留資格は、事業の経営・管理業務に外国人が従事することを可能にするために設けられた在留資格です。平成26年の法改正により、旧「投資・経営」の在留資格を改正して設けられました。
この在留資格の背景には、日米友好通商航海条約等において「いずれか一方の締約国の国民も、両締約国の領域の間における貿易を営み、若しくはこれに関連する商業活動を行う目的をもって、他方の締約国の領域に入り、在留することを許される」と定められていることがあります。外資の参入している企業の経営・管理業務に従事する外国人の受け入れを目的として、平成元年の法改正において創設されたものです。
この在留資格で認められる活動(法別表第1の2の表より)
- 本邦において貿易その他の事業の経営を行い、または当該事業の管理に従事する活動(法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)
該当する活動の範囲
「経営・管理」に該当する活動は、主に以下の3類型です。
経営・管理に該当する活動の類型
- 本邦において事業の経営を開始してその経営を行い、または当該事業の管理に従事する活動
- 本邦において既に営まれている事業に参画してその経営を行い、または当該事業の管理に従事する活動
- 本邦において事業の経営を行っている者(法人を含む。)に代わってその経営を行い、または当該事業の管理に従事する活動
「本邦において貿易その他の事業の経営を行う」とは、①本邦において活動の基盤となる事務所等を開設し、貿易その他の事業の経営を開始して経営を行うこと、②本邦において既に営まれている貿易その他の事業の経営に参画すること、③本邦において貿易その他の事業の経営を行っている者またはこれらの事業の経営を行う者に代わってその経営を行うことをいいます。
「当該事業の管理に従事する」とは、①本邦において経営を開始してその経営を行っている事業または経営に参画している事業の管理に従事すること、②本邦において貿易その他の事業の経営を開始した者もしくは本邦におけるこれらの事業の経営を行っている者に代わって当該事業の管理に従事することをいいます。
他の在留資格との関係
- 企業の経営活動や管理活動は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に定める活動と一部重複することがあるが、重複する場合は「経営・管理」の在留資格を決定する
- 企業に雇用される弁護士・公認会計士等の専門知識をもって経営・管理に従事する活動も原則「経営・管理」に該当するが、弁護士・外国法事務弁護士・公認会計士・外国公認会計士等の資格が必要な活動は「法律・会計業務」に該当する
- 日本法人の経営者に就任し、かつ日本法人から報酬が支払われる場合、短期間来日する場合であっても「経営・管理」の在留資格に該当する
- 病院の経営に係る活動は、医師の資格を有する者が行う場合であっても「医療」ではなく「経営・管理」の活動に該当する
注意:企業の職員として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で在留していた外国人が、昇進等により当該企業の経営者や管理者となったときは、直ちに「経営・管理」の在留資格に変更することまでは要しない。現に有する「技術・人文知識・国際業務」の在留期限の満了に合わせて「経営・管理」の在留資格を決定しても差し支えない。
5つの上陸許可基準
「経営・管理」の在留資格に係る上陸許可基準(上陸基準省令)は、令和7年10月に改正されました(旧基準は「旧基準」と呼ばれます)。
第1号
事業所の確保
事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。
第2号
事業規模
申請に係る事業の規模が次のいずれにも該当していること。
イ:経営または管理に従事する者以外に本邦に居住する常勤職員が従事して営まれるものであること
ロ:申請に係る事業の用に供される財産の総額(資本金含む)が3,000万円以上であること
第3号
日本語能力
申請に係る事業の経営を行い、または当該事業に従事する者(非常勤の者を除く。)のうちいずれかの者が、高度に自立して日本語を理解し使用することができる水準以上の能力を有している者であって、かつ、申請人が本邦に居住することとしているものであること。
第4号
経歴要件
申請人が事業の経営又は管理に係る業務に従事しようとする場合は、次のいずれかに該当すること。
イ:経営管理に関する分野または申請に係る事業の業務に必要な技術または知識に係る分野において博士・修士・専門職学位を有していること
ロ:事業の経営または管理について3年以上の経験を有していること
第5号
報酬要件
申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
※ 第5号は事業の「管理」に従事しようとする場合のみ適用。自ら事業の「経営」を行う場合には適用されない。
事業所の確保要件(重要)
実務上、最も重要な要件の一つが「事業所の確保」です。入管当局は事業所の実在性を厳しく確認します。
事業所として認められるためには、以下の2つの要素を満たす必要があります。
事業所として認められる要件
- 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること
- 財貨およびサービスの生産または提供が、人及び設備を有して、継続的に行われていること
バーチャルオフィスは原則として認められません:実際に、住所及び電話番号等を借り受け、電話にはオペレーターが対応し、郵便物を転送するなど実際に経営又は管理を行う場所が存在しない「バーチャル・オフィス」等と称する形態は、事業所とは認められない。また、月単位の短期間貸スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等の施設を利用したりする場合にも、特別の事情がない限り「事業所の確保(存在)」の要件に適合しているとは認められない。
なお、事業所は、実際に経営等を行う場所であるため、住所及び電話番号等は借り受けていても、当該法人等による使用であることを明確にすることが必要です。また、賃貸借契約者についても当該法人等の名義と、当該法人等による使用であることを明確にすることが必要です。
令和7年10月の上陸基準省令改正による緩和措置
- 令和7年10月の上陸基準省令の改正によって、事業規模要件が見直されるとともに、常勤職員の雇用が必須となった
- 自宅兼事業所とするような形態は基本的に想定されず、独立して事業を営む事業所であることが客観的に見て明らかであることを必要とする
- インキュベーター(経営アドバイス、企業運営に必要なビジネスサービス等への橋渡しを行う団体・組織)が支援している場合で、申請人から当該事業所に係る使用承諾書等の提出があったときは、JETROが運営するBISCのオフィス等の一時的な事業所として取り扱う特例がある
事業規模の要件(第2号)
第2号の「事業規模」要件はイとロのいずれにも該当する必要があります(どちらかではなく両方)。
第2号イ:常勤職員の雇用
- 経営または管理に従事する者以外に、本邦に居住する常勤職員が従事して営まれるものであること
- 「常勤の職員」とは、雇用契約等により常時勤務する職員をいう(第1節第3参照)
- 法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する常勤の職員は除かれる(つまり外国人の就労系ビザ保持者は「常勤職員」としてカウントできない)
第2号ロ:財産の総額3,000万円以上
- 申請に係る事業の用に供される財産の総額(資本金の額及び出資の総額を含む。)が3,000万円以上であること
- 事業主体が法人の場合:株式会社における払込済資本の額(資本金の額)または合名会社・合資会社・合同会社の出資の総額が3,000万円以上
- 事業主体が個人の場合:3,000万円以上を投資して営まれているような事業の規模がこれに当たる(事業所の確保、雇用する職員の給与等、その他事務機器購入経費及び事業所維持に係る経費が対象)
返済義務のある借入金を資本金とすることは違法とされています。新株予約権の発行により、返還義務のない確定した金額が既に払い込まれている場合は、当該払い込まれている金額のうち将来資本金に計上する額を財産総額に含めて取り扱う。
日本語能力の要件(第3号)
令和7年10月の上陸基準省令改正で新設された要件です。申請人が経営または管理を行う事業において、経営者または常勤職員のうちいずれかの者が日本語能力を有している必要があります。
求められる日本語能力水準
- 「高度に自立して日本語を理解し、使用することができる水準以上の能力」=「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上の日本語能力
- 日本語能力試験(JLPT)のN2レベルに合格した者のほか、これと同等の能力を有していると考えられるもの(例:BJTビジネス日本語能力テストで400点以上)
日本語能力の証明が不要な場合
- 日本人
- 特別永住者
- 中長期在留者として20年以上本邦に在留している者
- 本邦の大学を卒業し、または本邦の高等専門学校もしくは専修学校の専門課程を修了した者(恒常的に外国語による授業を行っている課程または通信により教育を行っている課程を卒業または修了した場合を除く。)
- 我が国の義務教育を修了していること、かつ我が国の高等学校等を卒業していること
審査のポイント
入管当局が在留資格決定時に確認する主なポイントは以下のとおりです。
在留資格決定時の確認事項
- 申請書の入国目的又は希望する在留資格欄が「経営・管理」であることを確認する
- 在留資格該当性について、申請書の勤務先・職歴・活動内容詳細および職務上の地位の記載並びに立証資料により、申請人の本邦において行おうとする活動が「経営・管理」の在留資格に該当するものであることを確認する
- 申請人が経営または管理の業務に実質的に参画し、従事するものでなければならず、実際に行う業務の内容を確認して判断する
- 申請人が新たに事業を開始しようとする場合について、申請時において申請人は上記の業務にはまだ参画等していないため、開始するとする事業の内容の具体性や、申請人が取得した株式や事業に投下している資金の出所等の事業の開始に至るまでの経緯全般から判断する
事業の継続性に関する審査
- 決定する在留期間の途中で事業が立ち行かなくなる等、在留活動が途切れることが想定されるような場合は、「経営・管理」の在留資格に該当する活動を行うものとは認められない
- 単年度の決算状況を重視するのではなく、貸借対照表等も含めて総合的に判断する
- 債務超過が続くような場合は、資金の借入先を確認するなど、事業の実態・本人の活動実態に虚偽性がないか確認する。特に、2年以上連続赤字の場合は、本人の活動内容を含め、慎重に調査する
複数の外国人が経営・管理に従事する場合
- それだけの人数の者が事業の経営または管理に従事することが必要とされる程度の事業規模・業務量・売上げ・従業員数等がなければならない
- 各外国人が経営または管理を主たる活動として行うことについて合理的な理由が認められること
- 事業の経営または管理に係る業務について、それぞれの外国人ごとに従事することとなる業務の内容が明確になっていること
- それぞれの外国人が経営または管理に係る業務の対価として相当の報酬の支払いを受けることとなっていること
よくある落とし穴
実務上注意すべきポイント
- バーチャルオフィス・レンタルオフィスの注意:月単位の短期利用や、実際に経営・管理を行う場所がない「バーチャル・オフィス」は原則として事業所と認められない。ただしJETROのBISCが提供するオフィス等の特例がある
- 自宅兼事業所は認められにくい:令和7年10月の改正により、常勤職員の雇用が必須となり、自宅兼事業所のような形態は基本的に想定されなくなった
- 常勤職員は就労系ビザ保持者はカウント不可:法別表第1の上欄の在留資格(就労系ビザ)で在留する外国人は「常勤職員」に含まれない
- 登記事項証明書の提出がないだけで不許可にはできない:個人事業は登記が必要とはされておらず、また株式会社等を設立する準備を行う意思があることや株式会社等の設立がほぼ確実に見込まれることが書類から確認できた場合は、登記事項証明書の提出がないことのみをもって不交付(不許可)処分を行うことはできないことになっている
- 役員の人数に制限はないが慎重な審査が必要:入国・在留を認める役員の人数については、それ自体に制限はないが、在留資格該当性が認められない場合や基準適合性が認められない場合等は不許可となりうる
- 申請人の活動内容確認が重要:申請人が新たに事業を開始しようとする場合は、業務委託等により経営判断を伴わない場合など、経営者等としての具体的活動内容に欠ける場合は、「経営・管理」の活動の実態がないものとして取り扱われる
事業の継続性が見込まれない場合は不許可:決定する在留期間の途中で事業が立ち行かなくなる等、在留活動が途切れることが想定されるような場合は、「経営・管理」の在留資格に該当する活動を行うものとは認められない。
なお、「経営・管理」における事業は、営利を目的としないものであっても、また、外国又は外国の地方公共団体(地方政府を含む。)の機関の事業として行われるものでも差し支えない。また、申請人が経営または管理に従事する事業は、外国人もしくは外国法人が現に投資しているもののみでなく、日本人もしくは日本法人のみが投資しているものであっても「経営・管理」の在留資格に該当する。
経営・管理ビザ完全ガイド 本記事は出入国在留管理庁の審査基準(第12編 在留資格)に基づいて作成しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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