地域に根ざす「共生」のかたち――外国人にやさしいまち・箕面のいま
多文化が静かに根づく北摂の町
大阪府北部に位置する箕面市は、全国的に見ると決して「外国人が多く住む町」とは言えません。しかし、ここ数年で少しずつ外国人住民が増加し、多様な文化がゆるやかに根づく地域へと変化しつつあります。特に、船場東・小野原西・牧落などの地域には、外国人の姿が日常的に見られるようになっています。
この変化の背景には、いくつかの要因があります。まず注目すべきは、2021年に移転・新設された大阪大学外国語学部の箕面キャンパスの存在です。キャンパスに隣接して「グローバルビレッジ箕面船場」という学生寮が整備され、日本人学生と留学生が共同生活を送っています。これにより、外国人学生の居住が集中し、周辺の住宅地や商業施設にも多文化的な空気が少しずつ広がってきました。
加えて、箕面市は大阪中心部(梅田)から電車で約30〜40分とアクセスが良好でありながら、自然環境が豊かで静かな住宅地が多いのも特徴です。都市の利便性と郊外の暮らしやすさを兼ね備えたこの土地に、働きに来た外国人やその家族が定住するケースも見られます。実際、近年では技能実習や特定技能、留学など多様な在留資格を持つ外国人が、箕面市に転入してくる例が徐々に増えてきています。
外国人が直面するリアルな暮らしの課題
多文化が芽吹きつつある箕面市ですが、外国人にとっての暮らしやすさにはまだまだ課題が残されています。
たとえば、行政手続きは基本的に日本語のみで行われており、日本語に不慣れな外国人にとっては申請書類の理解や窓口対応が大きな壁となります。とくに、在留資格の変更や更新、子どもの保育園申込み、住民税や年金の手続きなど、生活に直結する項目についての支援が十分とはいえない現状があります。
また、教育面では、外国にルーツを持つ子どもたちが増える一方で、日本語指導員の数や通訳体制はまだ整っていない部分も多く、保護者との意思疎通が難しいケースも少なくありません。給食の宗教的配慮、学校での支援体制などについて不安を感じる外国人家庭は多いです。
さらに、雇用においても課題があります。高い学歴やスキルを持っていても、日本語が流暢でないというだけで正規雇用からはじかれ、単純労働に甘んじるしかないという現実があります。とくに地方都市では、外国人が選択肢を持って働くのが難しい構造が根深く残っています。
これらの問題は、箕面市に限ったものではありませんが、都市圏に比べて情報や支援の“見える化”が進んでいない地方部では、孤立につながりやすい点に注意が必要です。
地域で進むやさしい取り組み
とはいえ、箕面市でもこうした課題に対して少しずつ改善の動きが見られます。
たとえば、箕面市国際交流協会(MAFGA)では、日本語教室や生活相談などを通じて外国人の地域定着を支援しています。ボランティアによる語学支援、生活マナー講座、地域住民との交流イベントなども行われており、孤立しがちな外国人が地域とつながるための貴重な場となっています。
また、箕面市立の小中学校では、外国籍の児童・生徒への日本語支援体制が少しずつ拡充されており、専門の指導員による個別対応や、教員への研修なども実施されています。
医療の分野でも、多言語対応が進みつつあります。市内の一部医療機関では翻訳アプリやリモート通訳サービスを導入し、外国人患者の不安軽減に努めています。緊急時のために多言語版の「救急受診ガイド」も配布されており、一定の支援体制が構築されてきていることがわかります。
しかしながら、これらの支援策は、まだ十分に周知されていないのが実情です。必要な人に必要な情報が届いていないという“情報格差”の問題が、今後の課題となっています。
行政書士ができる、もう一歩のサポート
こうした見えにくい支援ニーズに対応する存在として、私たち行政書士にも大きな役割があります。
外国人が日本で安心して暮らすためには、正確な在留資格の管理が欠かせません。たとえば、「就労ビザで働いていたが、職場が変わったので資格変更が必要」「家族を呼び寄せたいがどの在留資格が適切かわからない」といった相談は、日常的に寄せられます。こうした悩みに対し、行政書士は手続きの代行だけでなく、本人の状況や希望を丁寧に聞き取ったうえで、最適なルートを提案することができます。
また、地域で外国人を雇用しようと考える中小企業に対しては、外国人受け入れに関する法的な説明や、採用時の注意点などを丁寧にサポートすることが可能です。実際、箕面市内の建設業やサービス業の現場では、特定技能や留学生アルバイトの受け入れを検討する企業が増えており、制度理解と実務支援を求める声が高まっています。
さらに、行政書士は「誰に、何を、どう相談すればよいのか分からない」と困っている外国人の相談窓口としても機能できます。医療・保育・住居・雇用など複数の生活課題を一体で受け止め、それぞれの専門機関へつなぐ“地域のつなぎ役”として、私たちはもっと活用されるべき存在だと考えています。
おわりに:ゆるやかで確かな「共生」のかたちを
箕面市は、大都市のように国際化が進んでいるわけではありません。しかし、その分だけ、生活に根ざした「共生のかたち」をじっくりと育てることのできる町です。都市部のスピード感ではなく、地方都市ならではの人と人とのつながりを大切にした支援の形が、ここにはあります。
外国人だから、日本語が話せないから、制度が複雑だから――そうやって地域社会との距離を感じてしまう人が、一人でも減っていくように。私たちフジ行政書士事務所は、これからも外国人にやさしい町・箕面で、そっと背中を押す存在でありたいと願っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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