ビザ更新費用は誰が払う?本人と会社、負担の境界線とは

ビザ更新の費用は誰が払う?――曖昧なまま進めないために知っておくべきこと

外国人が日本で働き続けるためには、定期的な在留資格(ビザ)の更新手続きが必要になります。では、その更新にかかる費用は「本人」が支払うべきなのでしょうか?それとも「会社」が負担するべきなのでしょうか?この問いに明確な答えを出せないまま、なんとなくの慣習で処理されているケースも少なくありません。実際には、在留資格の種類、雇用形態、会社の就業規則、雇用契約書の内容などによって判断が分かれます。本記事では、ビザ更新費用の負担をめぐる実情と、労使双方が納得できる形で進めるための考え方を、制度面と実務面の両方から掘り下げてみたいと思います。

法的には「本人負担」が原則――でもそれで終わらせない

入管法上、在留資格の更新申請はあくまで「本人が行う手続き」とされています。したがって、更新に伴う収入印紙代(4,000円)などの法定費用についても、原則的には本人が負担するものと解釈されます。また、更新に必要な添付書類の多くは本人が準備する必要があるため、「個人の責任」という感覚が根強くあります。しかし、この「原則」をそのまま企業の実務に当てはめるのは慎重であるべきです。たとえば、企業が「更新申請に協力しない」「書類作成に非協力的」であれば、雇用を継続する前提自体が崩れてしまいます。外国人が就労できるのは、企業が提供する雇用ポジションがあってこそであり、就労継続のためのビザ更新ができないという事態は、会社側にも損失が生じるのです。このような背景から、多くの企業では更新費用を「会社負担」として扱うケースも珍しくありません。つまり、法的には本人負担が原則であるものの、実務上は会社負担とすることが一定の合理性を持つのです。

実際の現場ではどうしている?――企業による対応の差

ビザ更新費用を「誰が負担するか」は、企業によって対応がまちまちです。ある会社では就労ビザを取得した初期費用は本人負担、更新時は会社負担。別の会社ではその逆。また「収入印紙代は本人が払うが、申請書類の作成や行政書士費用は会社が持つ」といった折衷案も見られます。とくに技能実習生や特定技能外国人を多く受け入れている企業では、ビザ更新を前提とした雇用計画が組まれており、更新費用も一貫して会社が負担する傾向があります。逆に、アルバイトや短期契約のように継続雇用が前提でない場合は、本人に費用を任せるケースが多く見られます。また、会社が行政書士に依頼して更新手続きを代行する場合、その費用も誰が払うかが問題になります。行政書士報酬は1回数万円になることもあるため、「雇用主が払うべき」とする声も強い一方で、「個人の手続きなのだから本人が払うのが当然」という考えも根強くあります。問題は、こうした「誰が負担するか」が明確にルール化されていない企業が多いことです。あいまいなまま申請時期を迎え、本人と会社の間でトラブルになるケースも後を絶ちません。

トラブルを防ぐには?――雇用契約と社内ルールの整備がカギ

ビザ更新費用をめぐるトラブルは、たいてい「どちらが払うのか決まっていなかった」ことから始まります。こうした無用な混乱を避けるためには、雇用契約書や就業規則などに「ビザ更新にかかる費用負担の扱い」を明記しておくことが重要です。たとえば以下のような明記が考えられます:在留資格の更新にかかる印紙代・手数料は会社が負担する/行政書士費用については初回のみ会社負担とする/本人都合による退職が前提の場合、費用は自己負担とする。このようにルールを明文化しておけば、申請時になって慌てることも、誤解によるトラブルも避けられます。また、外国人本人にとっても安心感につながるため、会社への信頼度も向上します。もし既に雇用している社員との間でルールが未整備であれば、更新のタイミングにあわせて「今後の方針」を伝えるのが望ましいでしょう。なお、方針を変更する際は、本人に十分な説明と同意を得ることが不可欠です。

外国人本人も「負担の覚悟」を持つことが大切――一方的な期待にならないために

会社がビザ更新をサポートしてくれるのは心強いことですが、外国人本人としても「費用は必ず会社が払うもの」と思い込むのは避けるべきです。日本の制度では、在留資格はあくまで「本人の在留を許可するもの」であり、その維持・更新の責任も本来は本人にあります。そのため、費用が本人負担になる可能性もあることを理解し、事前に貯金をしておく、更新スケジュールを把握しておくなどの準備が必要です。特に転職活動中や雇用契約が不安定な状況では、自力で申請するケースも想定しなければなりません。また、更新時には収入要件の審査もあるため、会社の協力を得ながら「安定した雇用がある」ことを証明できるよう準備することも求められます。つまり、費用だけでなく書類の整備やスケジュール管理も含め、自らも「申請主体」としての意識を持つことが大切です。

まとめ――信頼関係を築くために

ビザ更新費用の負担者については、明確な法的義務はないものの、「原則は本人」「実務上は会社が負担することも多い」というのが現実です。しかし、どちらが負担するにしても、「どのようなルールで決めているか」が大切であり、それがなければトラブルの元になります。企業側には、雇用契約や社内ルールの明文化を、外国人本人には「自己責任」の意識と備えを。それぞれの立場で役割を理解し、円滑なビザ更新ができるよう努めることが、共に働くうえでの信頼関係につながるでしょう。フジ行政書士事務所では、在留資格の更新に関する相談や、会社との調整に関するサポートも行っております。雇用主・外国人本人いずれの立場でも、「何を準備すべきか」「どこまでサポートしてもらえるのか」不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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