特定技能外国人を採用する会社が最初に確認すべきこと|2026年最新の要件を行政書士が解説

特定技能外国人の採用でつまずく会社のほとんどは、能力や人柄の見極めを間違えたわけではありません。採用を決めたあとに在留資格を確認して、そこで初めて「この人はこの仕事では特定技能で働けない」と分かる。この順番の問題です。

この記事は、初めて特定技能外国人を採用する会社の担当者に向けて、採用候補者が決まった段階で確認すべき6つのことを、2026年8月時点の制度に沿って整理したものです。大阪府箕面市の行政書士事務所が、実際の在留資格申請の実務からまとめています。

目次

結論:確認は「採用を決める前」に、6項目を順番に

特定技能外国人を採用できるかどうかは、①仕事内容 ②本人の資格 ③会社の要件 ④雇用条件 ⑤支援体制 ⑥在留資格手続き、の6項目で決まります。このうち1つでも欠けると採用できません。

順番が重要です。①と②は候補者と業務が決まった時点で確定しますが、③から⑤は会社側で準備すれば整えられます。つまり①②を先に確認し、問題がなければ③以降の準備に入るという進め方が、最も手戻りが少なくなります。

逆に多いのが、内定を出して入社日まで決めてから確認を始めるケースです。この段階で「業務区分の対象外だった」と分かっても、採用そのものを取り消すか、業務内容を組み替えるかしかありません。候補者にとっても会社にとっても損失が大きくなります。

確認1 その仕事が特定技能の対象分野・業務区分に入っているか
確認2 採用候補者本人が特定技能1号の要件を満たしているか
確認3 会社(特定技能所属機関)が受入れの要件を満たしているか
確認4 雇用条件が制度の基準を満たしているか
確認5 1号特定技能外国人への支援を誰が行うか
確認6 在留資格の申請と、採用後の届出の準備ができているか

確認1:その仕事は特定技能の対象分野・業務区分に入っていますか

特定技能は「人手不足の業種なら何でも使える制度」ではありません。国が定めた分野と、その中の業務区分に該当する仕事でなければ、特定技能では働けません。

2026年8月現在、特定技能の対象は制度上19分野です。2024年3月の閣議決定で自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野が加わって16分野となり、2026年1月23日の閣議決定でリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野が追加されました。

ただし、新しい3分野は技能試験などの整備中で、実際に受入れが始まっているのは16分野です。この3分野での採用を検討している場合は、受入れ開始時期を分野所管省庁の情報で確認する必要があります。

実際に受入れが行われている16分野

介護/ビルクリーニング/工業製品製造業/建設/造船・舶用工業/自動車整備/航空/宿泊/農業/漁業/飲食料品製造業/外食業/自動車運送業/鉄道/林業/木材産業

分野に入っていても「業務区分」で外れることがあります

ここが実務で最も間違えやすいところです。分野の中はさらに業務区分に分かれていて、外国人が従事できるのはその区分の業務に限られます。たとえば飲食料品製造業の分野に該当する工場でも、担当させたい作業が製造・加工の区分に当たらなければ特定技能では認められません。

一方で、その業務に従事する日本人が通常行っている関連業務(付随的な清掃、原材料の運搬など)を併せて行うことは認められています。「主たる業務が区分に該当しているか」が判断の軸だと考えてください。

外食業分野は2026年4月13日以降、新規の受入れが原則停止しています。
外食業分野の特定技能1号は在留者数が受入れ見込数(5万人)に迫ったため、出入国在留管理庁は2026年4月13日以降に受理した在留資格認定証明書交付申請を不交付とし、在留資格変更許可申請も原則不許可とする措置をとりました。
ただし、すでに外食業分野の特定技能1号として在留している方の転職に伴う申請、技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」を修了した方の申請などは通常どおり審査されます。また、在留期間の更新は在留者数を増やさないため通常どおりです。
飲食店で外国人材の採用を検討している場合、この分野の状況確認は最優先事項です。

確認2:採用候補者本人が特定技能1号の要件を満たしていますか

特定技能1号で働くには、原則として「分野別の技能試験」と「日本語試験」の両方に合格している必要があります。技能実習2号を良好に修了した方は、これらの試験が免除されます。

日本語試験は、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)のA2以上、または日本語能力試験(JLPT)N4以上のいずれかです。介護分野ではこれに加えて介護日本語評価試験の合格が必要です。

試験に合格していれば、それだけで採用できるわけではありません

「試験に受かっている=すぐ雇える」と考えて話が進んでしまうことがありますが、本人側にはもう一つ大きな確認事項があります。特定技能1号の通算在留期間は5年が上限で、これは会社をまたいで通算されます。過去に別の会社で特定技能1号として働いていた方の場合、残りの期間が想定より短いことがあります。

また、現在の在留資格も確認が必要です。留学、技能実習、家族滞在など、どの資格でどれだけ在留してきたか、在留カードの有効期限はいつか、資格外活動の状況に問題はないか。過去に在留状況の問題があると、特定技能への変更が認められないことがあります。

特定技能1号と2号の違い

項目特定技能1号特定技能2号
在留期間通算5年が上限更新回数の上限なし
技能水準相当程度の知識または経験熟練した技能
家族帯同原則不可要件を満たせば可
支援受入れ機関による支援が義務支援義務なし
対象分野16分野で受入れ中11分野(介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は対象外)

長期的に働いてもらいたい場合、その分野に2号があるかどうかは採用計画に直結します。介護分野には特定技能2号がありませんが、介護福祉士の資格を取得して在留資格「介護」へ移行するルートがあります。

確認3:会社側にも受入れの要件があります

特定技能は、外国人本人の要件だけでなく、受け入れる会社(特定技能所属機関)の要件も審査されます。会社側の要件を満たしていなければ、本人がどれだけ条件を満たしていても許可されません。

会社側の主な要件は次のとおりです。

1 労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していること
2 過去5年以内に入管法令・労働法令の重大な違反がないこと
3 過去1年以内に、同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
4 過去1年以内に、受け入れている外国人の行方不明者を発生させていないこと
5 支援体制が整っていること(自社支援または登録支援機関への委託)
6 分野別の特定技能協議会に加入していること

協議会への加入は「申請前」に済ませておく必要があります

以前は受入れ後4か月以内の加入で足りましたが、2024年6月15日以降は、在留資格の申請前に協議会へ加入し、申請時に協議会加入証明書を提出することが必要になりました。いまも「4か月以内でよい」と書かれた古い情報がインターネット上に残っているため、注意してください。

加入証明書の発行には数週間かかることがあります。採用候補者が決まったら、在留資格の書類準備と並行して協議会の手続きを進めるのが実務上の段取りです。

特定技能外国人を採用する会社が最初に確認すべき6つのポイントを整理した図

特定技能の採用可否は、対象業務・本人の要件・会社側の要件を順番に確認することで判断できます。

確認4:雇用条件は「日本人と同等以上」が原則です

特定技能外国人の報酬は、同じ業務に従事する日本人と同等額以上でなければなりません。外国人だからという理由で低い給与を設定することはできず、審査でも重点的に確認されます。

比較の対象になるのは、同じ会社で同等の業務に従事する日本人従業員の賃金です。該当者がいない場合は、賃金規程や地域・業界の相場と照らして説明することになります。申請書類では「なぜこの金額なのか」を書面で説明する必要があるため、社内の賃金体系との整合性を先に整理しておくとスムーズです。

そのほか、次の点も基準になります。

・フルタイム(原則として週30時間以上、所定労働日数は週5日以上)の直接雇用であること
・一時帰国を希望した場合に必要な休暇を取得させること
・報酬を預貯金口座への振込等により支払い、その状況を記録できること
・社会保険・労働保険に適切に加入していること
・支援に要する費用を、外国人本人に直接または間接に負担させないこと

最後の点は見落とされやすい項目です。登録支援機関に支払う委託費を給与から差し引くような取扱いは認められません。

確認5:1号特定技能外国人への「支援」を誰が行うか

特定技能1号の外国人を受け入れる会社には、生活・就労に関する10項目の支援が義務づけられています。自社で行うか、登録支援機関に委託するかを選べますが、支援そのものを省くことはできません。

義務的支援には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保の支援、生活オリエンテーション、公的手続きへの同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流促進、転職支援、定期的な面談と行政機関への通報などが含まれます。

登録支援機関への委託は必須ではありません

法律上、委託は義務ではありません。自社で支援体制を整えられるなら自社支援も可能です。ただし自社支援を選ぶ場合、過去2年間に中長期在留者の受入れ実績があるなど、支援体制に関する基準を満たす必要があります。この基準を満たせない会社は、支援を登録支援機関に全部委託すれば、支援体制の基準を満たすものとして扱われます。

初めての受入れでは、まず委託から始めて社内に知見が溜まってから自社支援へ切り替える、という進め方をとる会社が多くなっています。

2027年4月1日から、支援体制の要件が厳しくなります。
出入国在留管理庁は2026年7月28日、1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正(令和9年4月1日施行)を公表しました。支援責任者・支援担当者を事業所ごとに常勤の役員または職員から1名以上選任すること、支援業務に従事できる者をその支援責任者等に限定することなどが主な内容です。
自社支援を検討している会社、また委託先の登録支援機関を選ぶ会社にとって、この改正は体制の見直しにつながります。

確認6:在留資格の申請と、採用後の届出

採用ルートによって申請の種類が変わります。海外から呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」、日本にいる外国人を採用する場合は「在留資格変更許可申請」です。

海外在住者を採用する場合は、在留資格認定証明書の交付を受けたうえで、本国の日本大使館・領事館でビザ(査証)を取得して入国します。審査だけで1か月から3か月程度、協議会の加入手続きや現地側の手続きを含めると、内定から入社までに半年近くかかることもあります。入社希望日から逆算した計画が必要です。

日本国内にいる留学生や技能実習修了者を採用する場合は在留資格変更許可申請となり、期間はやや短いのが一般的です。ただし変更許可が下りる前に働かせることはできません。許可前に就労させると不法就労助長罪の問題になります。

採用後にも届出義務が続きます

特定技能は、受け入れて終わりの制度ではありません。会社には出入国在留管理庁への届出義務が継続します。

定期届出 四半期ごとに、受入れ・活動・支援の実施状況を届け出ます。提出期限は翌四半期の初日から14日以内です。
随時届出 雇用契約の変更・終了、新たな契約の締結、支援計画の変更、支援委託契約の変更、外国人の受入れ困難や不正行為の発生などがあったとき、事由発生から14日以内に届け出ます。

この届出漏れは実際に多く、出入国在留管理庁も「定期届出でよくある誤り集」を公開しています。届出を怠ると受入れ機関としての適合性を欠くと判断され、次回の申請や更新に影響します。オンラインの電子届出システムも利用できるため、担当者を決めて社内フローに組み込んでおくことをおすすめします。

技能実習からの移行と、2027年からの育成就労制度

技能実習2号を良好に修了した方は、技能試験・日本語試験が免除されて特定技能1号へ移行できます。ただし、修了した職種・作業と、特定技能で従事する業務区分との関連が認められることが条件です。

関連性の判断は分野ごとに定められており、出入国在留管理庁が「技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野(業務区分)との関係について」を公表しています。「技能実習を終えたのだから当然移行できる」と考えて進めた結果、関連が認められず試験受験からやり直しになるケースがあります。

また、技能実習からの移行では、実習実施者からの評価調書など本人が自分では用意しにくい書類が必要になります。実習先との関係が良好でない場合、書類の取得自体が課題になることもあります。

2027年4月1日に育成就労制度が始まります

技能実習制度は、2027年(令和9年)4月1日に育成就労制度へ移行します。育成就労は、原則3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで人材を育てる制度で、特定技能への接続を正面から目的にしている点が技能実習との違いです。本人の意向による転籍も、一定の条件のもとで認められます。

今から新たに技能実習生を受け入れて特定技能につなげようと考えている会社は、この施行スケジュールを前提に計画を立てる必要があります。2026年から2027年にかけては、技能実習・育成就労・特定技能が並走する移行期にあたるため、自社がどの制度で人材を確保していくのかを整理しておくことが重要です。

外国人従業員と日本人従業員が同じ職場で一緒に働いている様子

採用後に外国人材が定着するかどうかは、受入れ前の準備段階でほぼ決まります。

大阪・箕面周辺の企業からよくいただくご相談

北摂エリアは製造業、食品関連、介護、宿泊、建設と、特定技能の対象分野に該当する事業者が多い地域です。実際にご相談をいただく内容には、いくつか共通した傾向があります。

「この人を採用できるか確認してほしい」

最も多く、そして最も効果が大きいご相談です。候補者の在留カード、これまでの経歴、試験の合格状況、予定している仕事内容を確認すれば、特定技能で受け入れられるかどうか、どの手続きが必要かを整理できます。採用を決める前の段階でご相談いただければ、判断を誤るリスクそのものを避けられます。

「会社側の必要書類が分からない」

特定技能の申請書類は、外国人本人に関するものと会社に関するものに分かれ、会社側の書類は決算書類、labor関係の書類、社会保険の納付状況を示す書類など多岐にわたります。どの書類をどこから取り寄せるか、いつ時点のものが必要かを最初に整理しておくと、準備期間を大きく短縮できます。

よくある質問

特定技能外国人を採用するにはどうすればよいですか?

まず「その仕事が特定技能の対象分野・業務区分に入っているか」と「候補者が技能試験・日本語試験に合格しているか(または技能実習2号を良好に修了しているか)」を確認します。ここが問題なければ、協議会への加入、雇用契約の締結、支援計画の作成を進め、出入国在留管理庁へ在留資格の申請を行います。海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書交付申請、日本国内にいる方を採用する場合は在留資格変更許可申請です。

会社側にはどのような要件がありますか?

労働・社会保険・租税の法令遵守、過去5年以内に重大な法令違反がないこと、過去1年以内に同種業務の労働者を非自発的に離職させていないこと、行方不明者を発生させていないこと、支援体制が整っていること、分野別の協議会に加入していることなどが求められます。外国人本人の条件が整っていても、会社側の要件を満たしていなければ許可されません。

試験に合格していれば、すぐに採用できますか?

試験合格は必要条件のひとつにすぎず、それだけでは採用できません。特定技能1号の通算在留期間は5年が上限で、過去に他社で働いた期間も通算されます。また、現在の在留資格や在留状況、予定している業務が対象の業務区分に該当するかも審査されます。採用を決める前に、在留カードと経歴の確認を行ってください。

登録支援機関への委託は必須ですか?

必須ではありません。自社で支援体制の基準を満たせば、自社支援も可能です。ただし義務的支援は10項目にわたり、実務負担が小さくありません。支援体制の基準を満たせない場合は、登録支援機関に全部委託することで基準を満たすものとして扱われます。なお、支援体制の要件は2027年4月1日から改正されるため、委託先を選ぶ際はその点も確認が必要です。

技能実習生を特定技能に変更できますか?

技能実習2号を良好に修了していれば、技能試験・日本語試験が免除されて特定技能1号へ移行できます。ただし、修了した職種・作業と特定技能で従事する業務区分との関連が認められることが条件です。関連が認められない組み合わせもあるため、移行を前提に採用を進める前に確認してください。

海外にいる外国人を特定技能で採用できますか?

可能です。在留資格認定証明書交付申請を行い、交付後に本国の日本大使館・領事館でビザを取得して入国します。ただし審査に1か月から3か月程度かかるほか、協議会の加入手続きや送出し国側の手続きも必要になるため、内定から入社まで数か月単位の期間を見込んでおく必要があります。入社希望日から逆算した準備が欠かせません。

外食業で特定技能外国人を新しく採用できますか?

2026年4月13日以降、外食業分野の新規受入れは原則として停止されています。同日以降に受理された在留資格認定証明書交付申請は不交付、在留資格変更許可申請も原則不許可です。ただし、すでに外食業分野の特定技能1号として在留している方の転職に伴う申請は通常どおり審査され、在留期間の更新も通常どおりです。飲食店での採用を検討している場合は、最新の運用状況を確認したうえで、他の在留資格による採用も含めて検討することをおすすめします。

まとめ:確認の順番を変えるだけで、失敗はほとんど防げます

特定技能外国人の採用でトラブルになる場面は、その多くが「確認が遅かった」ことに原因があります。仕事内容が業務区分に入っているか、本人が要件を満たしているか、会社側の要件は揃うか。この3つを採用候補者が決まった段階で確認するだけで、あとから採用を取り消すような事態はほとんど避けられます。

制度そのものも動いています。外食業分野の受入れ停止、対象分野の19分野化、2027年4月からの育成就労制度と支援体制要件の改正。数年前の情報のまま採用計画を立てると、前提が変わっていることがあります。

特定技能・外国人雇用のご相談

フジ行政書士事務所(大阪府箕面市)では、特定技能をはじめとする外国人の在留資格に関するご相談をお受けしています。

候補者の在留資格・経歴・試験の合格状況・予定している仕事内容を確認したうえで、その方を採用できるか、どの手続きが必要か、会社側で何を準備すべきかを整理してお伝えします。在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請の書類作成と申請手続きの代行、採用後の届出のご相談まで対応しています。

箕面市・豊中市・池田市をはじめとする北摂エリアを中心に、大阪府内から広くご相談をいただいています。中国語でのご相談にも対応しています。

とりあえずLINEで相談する フジ行政書士事務所ホームページ

本記事は2026年8月時点の出入国在留管理庁ほか公的機関の公表情報に基づいて作成しています。特定技能制度は改正・運用変更が多いため、実際の手続きにあたっては最新の情報をご確認ください。

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