日本で働く外国人材が就労ビザ(在留資格)を更新する際、その費用を「本人」と「会社」のどちらが負担するのか――。明確なルールを決めないまま更新時期を迎え、現場で戸惑うケースは少なくありません。実は、この負担区分には法律上の明確な定めがなく、在留資格の種類・雇用形態・社内規程によって扱いが分かれます。本記事では、制度上の原則と実務の実態の両面から、労使が納得して進めるための考え方を整理します。
法的な原則は「申請主体は本人」
在留期間の更新は、入管法上あくまで外国人本人が行う手続きです。したがって、申請時に納める手数料(収入印紙代)も、原則として本人が負担するものと解されます。添付書類の多くを本人が準備する点も、「個人の責任」という感覚を後押ししています。
在留期間更新許可申請の手数料:窓口 6,000円/オンライン 5,500円
2025年4月1日の改定により、従来の4,000円から引き上げられました。納付は収入印紙によるのが原則で、現金・クレジットカードでの支払いには対応していません。
ただし、この「本人負担が原則」という建前を、そのまま企業実務に当てはめるのは早計です。外国人が働き続けられるのは、会社が雇用ポジションを用意しているからこそ。更新が滞れば就労を継続できず、会社にとっても貴重な戦力を失う損失となります。更新は「本人の手続き」であると同時に「会社の事業継続」にも直結する――ここに、費用を一律に本人へ求めにくい事情があります。
現場の実態 ― 会社負担が広がる理由
実際の運用は企業ごとにまちまちです。「取得時の初期費用は本人、更新時は会社」という会社もあれば、その逆もあります。「印紙代は本人が払うが、申請書類の作成や行政書士費用は会社が持つ」といった折衷型も見られます。傾向としては、雇用の継続を前提にしているかどうかで分かれやすいといえます。
- 特定技能・技能実習など、更新を前提に計画的な受け入れを行っている
- 長期的な戦力として継続雇用を見込んでいる
- 会社主導で行政書士に手続きを依頼している
- アルバイト・短期契約など継続雇用が前提でない
- 転職活動中で雇用先が流動的
- 本人都合による在留・転職が見込まれる
行政書士へ依頼する費用は誰が持つか
更新手続きを行政書士に代行依頼する場合、その報酬(1件あたり数万円程度が一般的)を誰が負担するかも論点になります。「会社の都合で継続雇用するのだから会社が持つべき」という考えと、「個人の在留に関わる手続きだから本人が払うのが筋」という考えが交錯します。どちらが正しいというより、次に述べるとおり、事前に取り決めておくことが何より肝心です。
トラブルを防ぐ鍵は「契約・規程への明記」
費用をめぐる対立は、たいてい「どちらが払うか決めていなかった」ことに端を発します。雇用契約書や就業規則に負担の扱いを明記しておけば、申請直前に慌てることも、認識のズレによる摩擦も避けられます。明文化の例としては、次のような項目が考えられます。
- ✓在留資格更新にかかる印紙代・手数料は会社が負担する
- ✓行政書士費用は初回更新のみ会社負担とする
- ✓本人都合による退職が見込まれる場合は自己負担とする
既存の社員との間でルールが未整備であれば、更新時期に合わせて今後の方針を共有するとよいでしょう。方針を変更する際は、本人への十分な説明と同意が欠かせません。明確なルールは、外国人本人の安心感と、会社への信頼にもつながります。
外国人本人に求められる「備え」
会社の支援は心強い一方で、「費用は当然会社が払うもの」と思い込むのは避けたいところです。在留資格はあくまで本人の在留を許可するものであり、その維持の責任は本来本人にあります。費用が自己負担になる可能性も想定し、更新スケジュールの把握や資金の準備をしておくことが望まれます。とくに転職活動中や雇用が不安定な局面では、自力で申請する場面も十分にあり得ます。
さらに、手数料は今後さらに引き上げられる見通しがあります。2026年3月の閣議決定では、在留資格の変更・更新手数料の法定上限を10万円へ引き上げる入管法改正案が示されました(実際の金額は、改正成立後に政令で定められる見込みです)。長期的なコスト増も視野に入れ、労使双方が早めに備えておくことが現実的といえます。
まとめ ― 信頼関係を築くために
ビザ更新費用の負担者に明確な法的義務はなく、「原則は本人、実務では会社負担も多い」というのが実情です。重要なのは、どちらが払うにせよ「どんなルールで決めるか」を事前に共有しておくこと。企業には契約・規程の明文化を、本人には申請主体としての自覚と備えを――それぞれが役割を理解することが、長く共に働くための信頼関係につながります。
更新手続き・社内ルールのご相談
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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