食品工場の人手不足を、特定技能の外国人で補いたい。そう考えたとき、まず「飲食料品製造業」という分野の名前を目にすると思います。ただ、この分野は「食品を作っている会社なら受け入れられる」という単純な仕組みではありません。工場が対象になるかどうか、外国人に任せられる仕事の範囲、申請の前に済ませておく手続きなど、ほかの分野にはない決まりがいくつもあります。
この記事では、食品工場が特定技能の外国人を受け入れるときに、会社がつまずきやすいところを順に整理します。
この記事のポイント
・対象になるかは会社ではなく事業所ごとに、主な事業が何かで判断されます。店舗のバックヤードや食品卸などは、判断が分かれたり対象外になったりします
・選別や包装だけ、清掃や配送だけといった仕事では受け入れられません。製造・加工の工程に従事することが前提です
・在留資格の申請の前に、会社が「食品産業特定技能協議会」に加入しておく必要があります。支援を委託する場合は、委託先の登録支援機関も加入が必要です
・2027年4月から業務区分が「飲食料品製造業」と「水産加工業」に分かれ、雇用契約の前に説明が必要になる場面があります
①自社の工場は対象になる?「食品を作っている」だけでは決まらない
飲食料品製造業分野で受け入れられるのは、日本標準産業分類で決められた産業を主に行っている事業所です。同じ会社でも、工場ごとに判断されます。そして「主に行っている」かどうかは、基本的に直近の売上高で見られます。
| 事業所の例 | 考え方 |
|---|---|
| 食料品の製造工場(惣菜、弁当、パン、菓子、食肉加工、水産加工など) | 対象になる代表的な事業所です |
| 清涼飲料、茶・コーヒー、氷の製造工場 | 対象になります |
| 酒類の製造 | 対象外です |
| スーパーマーケットのバックヤード | 食料品の製造を行っていれば対象になり得ますが、販売の仕事はさせられず、誓約書が必要です |
| パン・菓子の製造小売店 | 対象になり得ますが、店頭での販売には従事させられません |
| セントラルキッチン、プロセスセンター | 独立した製造事業所であれば対象になり得ます |
| 食品卸、食品倉庫 | 対象外です |
判断が分かれやすいのは「いくつかの事業をしている会社」
製造と卸、製造と小売のように複数の事業をしている会社では、受け入れたい事業所の主な事業がどれに当たるかで結論が変わります。売上の区分け方によって見え方が変わるため、決算書の数字だけでは判断しきれないこともあります。協議会が対象外と判断した場合は、その事業所では雇用できません。採用活動を始める前に、まず対象になるかを確かめておく必要があります。

工場が対象になるかは事業所ごとに判断される
②外国人に任せられる仕事の範囲
飲食料品製造業分野で特定技能1号の外国人が従事するのは、飲食料品(酒類を除く)の製造・加工と、安全衛生の確保の仕事です。原料の処理から加熱、殺菌、成形、乾燥までの一連の生産工程に幅広く従事することが想定されています。
| 仕事の内容 | 扱い |
|---|---|
| 製造ラインでの加工、加熱、成形などの工程 | 認められます |
| 衛生管理、異物混入の防止などの安全衛生の確保 | 認められます |
| 原料の受入れ、製品の納品、清掃などの関連する仕事 | 製造の仕事に付随して行うのは認められますが、関連する仕事だけをさせることはできません |
| 選別だけ、包装だけの仕事 | 製造・加工に当たらないとされています |
| 店頭での販売、レジ | スーパーや製造小売の事業所では従事させられません |
難しいのは、実際の工場の仕事がこの表のようにきれいに分かれていないことです。人手が足りない日に包装ラインへ回す、閑散期に倉庫の作業を手伝ってもらう、といった配置が続くと、申請のときに説明した仕事と実態がずれていきます。在留期間の更新のときに、勤務の実態が確認されることもあります。
③申請の前に済ませること:協議会への加入と手続きの順番
飲食料品製造業分野で特定技能の外国人を受け入れる会社は、在留資格の申請の前に「食品産業特定技能協議会」に加入しておく必要があります。加入のときや加入の後に、対象の事業所であることを示す書類(登記事項証明書、定款、決算書、営業許可の写しなど)を求められることがあります。
受け入れる事業所が対象になるかを確かめる
主な事業と売上の内訳から判断します。迷う場合は、協議会への加入の前に確認しておきます。
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食品産業特定技能協議会に加入する
会社として加入します。支援を委託する場合は、委託先の登録支援機関も加入している必要があります。
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雇用契約の前に、外国人へ説明する
キャリアアップの見通しを書面で説明します。雇用条件や業務区分についての説明も必要です。
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支援計画をつくる
入国前のガイダンスから定期面談まで、受け入れ後の支援の内容と担当を決めます。
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入管に在留資格を申請する
協議会の構成員であることを示す書類や、分野ごとの誓約書も提出します。
この順番が前後すると、申請の準備が止まります。とくに「先に人を決めてから協議会に加入しよう」と考えていると、加入の手続きを待つ間に入社の予定がずれ込むことがあります。また、委託しようとしている登録支援機関が協議会に加入していなければ、その登録支援機関には支援を任せられません。
④雇用の形と、雇用契約の前に必要な説明
派遣での受け入れはできない
飲食料品製造業分野では、特定技能の外国人は直接雇用に限られます。外国人を派遣すること、派遣された外国人を受け入れることは認められておらず、違反すると5年間受け入れができなくなります。製造を請け負っている会社の場合は、請け負っている仕事の中身によって判断が分かれます。
雇用契約を結ぶ前には、キャリアアップの見通しを書面で交付して説明する必要があります。どのような仕事を経て、どのくらいの期間でどう成長していくのか、それによって待遇がどう変わるのかを示すものです。様式は決まっていないため、自社の工場の実情に合わせて内容を考える必要があります。また、外国人から求められた場合には、実務経験を証明する書面を交付することも求められています。
どれも、ほかの分野にはない飲食料品製造業分野ならではの決まりです。ほかの分野で特定技能の受け入れをしたことがある会社でも、同じ感覚で進めると抜けが出やすいところです。
自社の工場が対象になるか分からない、協議会への加入から申請までの順番を整理したいという会社の方は、受け入れたい事業所の業種と、受け入れたい人数をLINEでお知らせください。対象になるかの見通しと、申請・支援までの進め方をお伝えします。
LINEで特定技能の受け入れを相談する⑤2027年4月から業務区分が2つに分かれる
2027年4月1日から、飲食料品製造業分野の業務区分は「飲食料品製造業」と「水産加工業」の2つに分かれます。水産物の加工を行う工場と、それ以外の食品工場とで、区分が別になる形です。
| 影響が出る場面 | 確認したいこと |
|---|---|
| これから採用する人 | 自社の工場がどちらの区分に当たるか、本人の試験がどちらの区分に対応するか |
| すでに雇っている人 | 今の在留資格の扱いと、更新や転職のときにどう扱われるか |
| 水産加工と他の食品製造の両方を行う工場 | どちらの区分で受け入れるか、配置の仕方 |
区分が分かれると、転職は原則として同じ区分の中に限られることなど、本人にとって大事な点を雇用契約の前に説明し、同意を得ておく必要があります。2027年3月31日までに試験に合格した人の扱いなど、移行の決まりもあります。採用の時期が2027年をまたぐ会社は、早めに整理しておきたいところです。
⑥技能実習生から特定技能に切り替えるとき
食品製造の技能実習を良好に修了した人は、仕事の内容に関連性があれば、特定技能1号の試験と日本語の試験が免除されます。そのため、技能実習を終えた人に特定技能として残ってもらう会社は少なくありません。
ただし、切り替えのときには、在留資格の変更の申請に加えて、協議会への加入、支援計画の作成、支援の担当の決め直しが必要です。技能実習のときに監理団体が行っていた支援を、そのまま監理団体に続けてもらうことはできません。特定技能の支援は、自社で行うか、登録支援機関に委託することになります。この点は技能実習生を特定技能に切り替えたら、支援はどこに頼む?で説明しています。
⑦夜勤・交代制の工場で、支援が回るか
特定技能1号の外国人を受け入れる会社には、法律で決められた支援を行う義務があります。入国前のガイダンス、住まい探しの手伝い、生活オリエンテーション、3か月に1回以上の定期面談、相談や苦情への対応、入管への定期的な届出などです。
食品工場では、ここが思った以上に重くなります。
| 食品工場で起きやすいこと | 支援への影響 |
|---|---|
| 早朝・夜勤・交代制の勤務 | 定期面談や相談対応の時間を、本人の勤務に合わせて組む必要があります |
| 同じ時期に複数人を受け入れる | 入国前後の支援が重なり、担当者の負担が一度に増えます |
| 寮や社宅を用意する | 住まいの契約、生活のルールの説明、近隣とのトラブル対応まで支援に入ってきます |
| 工場の担当者が製造の責任者を兼ねている | 繁忙期に支援が後回しになり、面談の記録や届出が遅れやすくなります |
支援の記録や届出に不備が続くと、会社としての受け入れそのものに影響します。さらに2027年4月からは、自社で支援する場合の体制の要件が厳しくなります。詳しくは特定技能の自社支援を始めたい|登録支援機関を使わず会社で支援するための条件とは?で整理しています。

交代制の工場では、面談の日程を組むだけでも手間がかかる
⑧自社で支援するか、登録支援機関に任せるか
| 進め方 | 向いている会社 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| すべて自社で支援する | 支援の専任者を置ける会社、外国人の受け入れに慣れている会社 | 体制の要件を満たし続ける必要があり、担当者が異動・退職したときに支援が止まるおそれがあります |
| 登録支援機関にすべて委託する | 初めて受け入れる会社、工場の担当者が製造の仕事で手一杯の会社 | 委託先が食品産業特定技能協議会に加入しているかを確かめる必要があります |
| 自社で支援し、一部だけ外注する | 面談は自社で行い、書類や届出だけ任せたい会社 | どこまでを誰が行うのか、責任の分け方をはっきりさせておく必要があります |
どれが合うかは、受け入れる人数、工場の勤務の形、支援を担当できる人がいるかで変わります。委託料だけで比べると見落としが出やすいため、特定技能は自社支援の方が安い?登録支援機関への委託料だけでは分からないコストもあわせてご覧ください。
⑨フジ行政書士事務所にお任せいただけること
フジ行政書士事務所は、行政書士事務所であり、登録支援機関でもあります。飲食料品製造業分野の決まりを踏まえて、在留資格の申請と受け入れ後の支援をまとめてお引き受けします。
| お任せいただけること | 内容 |
|---|---|
| 対象になるかの確認 | 受け入れたい事業所の業種と事業の内容を伺い、対象になるかの見通しをお伝えします |
| 協議会への加入の準備 | 加入の手続きと、求められる書類の準備を進めます |
| 雇用契約前の書面の準備 | キャリアアップの見通しを示す書面など、契約前に必要な書面を整えます |
| 在留資格の申請 | 在留資格認定証明書、変更、更新の申請書類を作成し、申請まで進めます |
| 支援の委託 | 登録支援機関として、定期面談、生活支援、入管への届出などの支援を行います |
| 内容 | 報酬(税込) |
|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請 | 132,000円〜 |
| 在留期間更新許可申請 | 77,000円〜 |
| 支援委託(登録支援機関) | 1人あたり月額27,500円 |
証明書の発行手数料、送迎や同行にかかる交通費などの実費は別にかかります。複数名の受け入れは、人数を伺ってお見積りします。
LINEでご相談
受け入れたい事業所の業種、人数、採用したい時期をお知らせください。
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対象になるかと進め方の確認
事業所の状況を伺い、対象になるかの見通しと、申請・支援までの段取りをお伝えします。
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協議会への加入と申請の準備
加入の手続きと、雇用契約前の書面、申請書類をそろえます。
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申請と支援の開始
入管への申請を行い、許可が出たら入社に合わせて支援を始めます。
よくある質問
Q. スーパーの惣菜部門で特定技能の外国人を受け入れられますか?
店舗で食料品の製造を行っていれば対象になり得ますが、販売の仕事をさせないことを誓約する必要があります。売場の一角で少し調理する程度では対象外となることもあり、店舗ごとの確認が必要です。
Q. 包装やピッキングの仕事だけを任せることはできますか?
選別や包装だけの仕事は、製造・加工に当たらないとされています。原料の受入れや清掃などの関連する仕事も、製造の仕事に付随して行う範囲に限られます。
Q. 食品産業特定技能協議会には、いつまでに加入すればいいですか?
在留資格の申請の前に加入しておく必要があります。支援を登録支援機関に委託する場合は、委託先も申請の前に加入している必要があります。
Q. 派遣会社から特定技能の外国人を受け入れることはできますか?
飲食料品製造業分野では直接雇用に限られ、派遣での受け入れは認められていません。違反すると5年間受け入れができなくなります。
Q. 技能実習を終えた人を特定技能に切り替えるとき、支援は監理団体に頼めますか?
監理団体のまま特定技能の支援を続けることはできません。自社で支援するか、登録支援機関に委託することになります。委託する場合は、委託先が食品産業特定技能協議会に加入しているかも確認が必要です。
食品工場で特定技能の外国人を受け入れたい会社の方は、受け入れたい事業所の業種と人数をLINEでお知らせください。対象になるかの見通しと、申請から支援までの進め方を整理してお伝えします。
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