介護の現場の人手不足を補うために、特定技能の外国人を受け入れる施設が増えています。ただ、介護分野の特定技能には、ほかの分野にはない決まりがいくつもあります。受け入れられる人数に上限があり、訪問介護で働いてもらうには別の要件があり、申請の前に済ませておく手続きもあります。
この記事では、介護施設が特定技能の外国人を受け入れるときに、施設側がつまずきやすいところを順に整理します。
この記事のポイント
・受け入れられる人数は、事業所ごとに「日本人等の常勤介護職員の数」までです。技能実習生や留学生は、この数に入りません
・訪問介護などの訪問系サービスで働いてもらうには、研修の修了や実務経験、事業所の体制など、追加の要件があります
・在留資格の申請の前に、「介護分野における特定技能協議会」に加入しておく必要があります
・介護分野には特定技能2号がないため、長く働いてもらうには介護福祉士の資格を取る道筋も考えておく必要があります
①自社の事業所で受け入れられるか
介護分野で特定技能の外国人を受け入れられるのは、介護福祉士国家試験の受験に必要な実務経験として認められる介護の仕事をさせられる事業所です。外国人が従事するのは、入浴・食事・排せつの介助などの身体介護と、それに付随するレクリエーションの実施や機能訓練の補助などの仕事です。
| 仕事・事業所の例 | 考え方 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などの入所系の施設 | 身体介護を行う事業所として、受け入れの対象になります |
| デイサービスなどの通所系の事業所 | 身体介護を行っていれば対象になりますが、事業所の種類ごとに確認が必要です |
| 訪問介護などの訪問系サービス | 追加の要件を満たした場合に限って従事させられます |
| 清掃、調理、送迎の運転などだけの仕事 | 介護の仕事に付随して行うのは認められますが、それだけをさせることはできません |
同じ法人の中でも、事業所によって対象になるかどうかが変わることがあります。受け入れたあとに働く事業所を変える場合は、入管への届出が必要です。
②受け入れられる人数には上限がある
介護分野では、事業所ごとに受け入れられる特定技能の外国人の数に上限があります。上限は、その事業所の「日本人等の常勤介護職員の総数」です。
| 職員の例 | 上限の計算に入るか |
|---|---|
| 日本人の常勤の介護職員 | 入ります |
| 在留資格「介護」の職員、永住者や日本人の配偶者などの外国人職員 | 入ります |
| 技能実習生、EPAの介護福祉士候補者、留学生 | 入りません |
| 事務職員、看護師 | 介護を主な仕事としていないため入りません |
技能実習生が多い事業所は上限に注意
技能実習生や留学生のアルバイトで介護の人手を補っている事業所では、数えられる職員が思ったより少なく、受け入れたい人数を受け入れられないことがあります。日本人職員の退職で、上限が下がることもあります。採用の計画を立てる前に、今の職員の内訳で何人まで受け入れられるかを確かめておく必要があります。

受け入れられる人数は事業所ごとに決まる
③訪問介護で働いてもらうときの追加の要件
訪問介護などの訪問系サービスは、利用者の自宅で一人で介護を行う場面があるため、施設での介護とは別の要件が定められています。
| 求められること | 内容 |
|---|---|
| 研修の修了 | 日本人の職員と同じように、介護職員初任者研修などを修了していること |
| 実務経験 | 原則として、介護事業所での実務経験が1年以上あること。1年未満の場合は、日本語の能力や同行訪問の期間などの条件のもとで例外的に認められることがあります |
| 事業所の体制 | 講習やOJTの実施、キャリアアップの計画づくりと提出、ハラスメントへの対策、緊急時の連絡体制の整備 |
| 利用者への説明 | 特定技能の外国人が訪問する可能性があることなどを、利用者や家族に書面で説明し、署名をもらうこと |
これらの要件を満たしているかは、協議会で確認され、受け入れたあとも巡回訪問などで確かめられます。書類をそろえるだけでなく、実際にその体制で運営し続けることが求められます。
④申請の前に済ませること
受け入れる事業所と人数を決める
対象になる事業所か、上限の範囲で何人受け入れられるかを確かめます。
▼
介護分野における特定技能協議会に加入する
在留資格の申請の前に加入しておく必要があります。
▼
本人の試験や資格を確かめる
介護技能評価試験、介護日本語評価試験、日本語の試験の合格、または技能実習の修了などで免除になるかを確認します。
▼
支援計画をつくり、申請する
介護分野の誓約書や事業所の概要書、協議会の構成員であることを示す書類もあわせて提出します。
技能実習を修了した人の試験の免除には、修了した職種によって条件があります。介護以外の職種で技能実習を修了した人は、介護日本語評価試験の合格が別に必要です。また、介護分野でも派遣での受け入れはできず、直接雇用に限られます。
自社の事業所で何人まで受け入れられるか、訪問介護で働いてもらえるかを確かめたい施設の方は、事業所の種類と常勤の介護職員の人数をLINEでお知らせください。受け入れの見通しと、申請・支援までの進め方をお伝えします。
LINEで特定技能の受け入れを相談する⑤長く働いてもらうための道筋
介護分野には特定技能2号がありません。特定技能1号で働ける期間には上限があるため、その先も働いてもらうには、介護福祉士の国家試験に合格して在留資格「介護」に変更する道を考える必要があります。
| 考えておきたいこと | 施設側に求められること |
|---|---|
| 介護福祉士の受験に向けた準備 | 実務経験の積み方、研修の受講、勉強の時間をどう確保するか |
| 日本語の力を伸ばすこと | 国家試験は日本語で行われるため、日々の業務の中で日本語を学べる環境をつくれるか |
| 在留期限の管理 | 受験の時期と特定技能の在留期限が合うように、早めに計画を立てられるか |
受け入れのときから、この道筋を本人と共有しておくと、途中での転職を防ぐことにもつながります。

夜勤のある施設は面談の日程づくりも手間
⑥夜勤・交代制の施設で、支援が回るか
特定技能1号の外国人を受け入れる施設には、法律で決められた支援を行う義務があります。入国前のガイダンス、住まい探しの手伝い、生活オリエンテーション、3か月に1回以上の定期面談、相談への対応、入管への定期的な届出などです。
| 介護施設で起きやすいこと | 支援への影響 |
|---|---|
| 夜勤や早番・遅番がある | 定期面談や相談の時間を、本人の勤務に合わせて組む必要があります |
| 複数の事業所で受け入れる | 事業所ごとに支援の担当や記録の管理が必要になります |
| 寮や社宅を用意する | 住まいの契約や生活のルールの説明、近隣とのトラブル対応まで支援に入ってきます |
| 担当者が介護の現場と兼務している | 人手が足りない時期に支援が後回しになり、記録や届出が遅れやすくなります |
2027年4月からは、自社で支援する場合の体制の要件が厳しくなります。詳しくは特定技能の自社支援を始めたい|登録支援機関を使わず会社で支援するための条件とは?で整理しています。自社で支援するか委託するかで迷う場合は、特定技能は自社支援の方が安い?登録支援機関への委託料だけでは分からないコストもあわせてご覧ください。
⑦フジ行政書士事務所にお任せいただけること
フジ行政書士事務所は、行政書士事務所であり、登録支援機関でもあります。介護分野の決まりを踏まえて、在留資格の申請と受け入れ後の支援をまとめてお引き受けします。
| お任せいただけること | 内容 |
|---|---|
| 受け入れの見通しの確認 | 事業所の種類と職員の内訳から、何人まで受け入れられるか、訪問系サービスに従事させられるかを確認します |
| 協議会への加入の準備 | 加入の手続きと、求められる書類の準備を進めます |
| 在留資格の申請 | 在留資格認定証明書、変更、更新の申請書類を作成し、申請まで進めます |
| 支援の委託 | 登録支援機関として、定期面談、生活支援、入管への届出などの支援を行います |
| 内容 | 報酬(税込) |
|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請 | 132,000円〜 |
| 在留期間更新許可申請 | 77,000円〜 |
| 支援委託(登録支援機関) | 1人あたり月額27,500円 |
証明書の発行手数料、送迎や同行にかかる交通費などの実費は別にかかります。複数名の受け入れは、人数を伺ってお見積りします。
LINEでご相談
事業所の種類、常勤の介護職員の人数、受け入れたい人数と時期をお知らせください。
▼
受け入れの見通しの確認
人数の上限や訪問系サービスの要件を確かめ、申請・支援までの段取りをお伝えします。
▼
協議会への加入と申請の準備
加入の手続き、支援計画、申請書類をそろえます。
▼
申請と支援の開始
入管への申請を行い、許可が出たら入職に合わせて支援を始めます。
よくある質問
Q. 特定技能の外国人は何人まで受け入れられますか?
事業所ごとに、日本人等の常勤介護職員の総数が上限です。技能実習生、EPAの介護福祉士候補者、留学生はこの数に入らないため、職員の内訳によっては受け入れられる人数が少なくなります。
Q. 特定技能の外国人に訪問介護をしてもらえますか?
介護職員初任者研修などの修了、原則1年以上の実務経験、事業所での研修や緊急時の体制づくり、利用者への書面での説明などの要件を満たせば従事させられます。
Q. 協議会にはいつまでに加入すればいいですか?
在留資格の申請の前に、介護分野における特定技能協議会に加入しておく必要があります。
Q. 介護分野に特定技能2号はありますか?
ありません。特定技能1号の期間を超えて働いてもらうには、介護福祉士の国家試験に合格して在留資格「介護」に変更する道を考えることになります。
Q. 技能実習を終えた人は試験なしで特定技能に移れますか?
介護職種の技能実習2号を良好に修了した人は、技能と日本語の試験が免除されます。介護以外の職種で修了した人は、介護日本語評価試験の合格が別に必要です。
介護施設で特定技能の外国人を受け入れたい方は、事業所の種類と常勤の介護職員の人数をLINEでお知らせください。何人まで受け入れられるかの見通しと、申請から支援までの進め方を整理してお伝えします。
とりあえずLINEで相談する フジ行政書士事務所ホームページ